製缶ひとすじ - 有限会社 黒部製缶

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有限会社 黒部製缶の3代目代表取締役。

学校卒業後、一度は食品関係の商社に勤めるも、父親である先代からの願いからこの道へ。
直後に母親が他界するも、そのまま家業の職人の道をすすむ。

『僕は仕事は嫌いなんだ』と、微笑みながら社長は話すが、社長がもっとも信頼する職人歴八年の植田さんは、そんな社長のことを『おだやかで人一倍仕事に熱心』
と笑います。
『一口に製缶といっても、1斗缶や缶詰のように、機械で大量生産する製缶業者さんはまだまだ多いけど、数少ないものや、規格品では駄目な製品に対応できる手作りの製缶屋は、随分少なくなった。

僕が小さい頃はね、工場はフル稼働で職人さんも2、30名程いたんだ。今では同業者と呼べる企業さんは、県内でも1件ぐらいしかないんじゃないかな。本当に少なくなった。

ただ、大量に必要とされるものは機械をかけてつくらなければ、コストがかかってしまうが、それほど需要が無いものを機械でつくるとコストが高くなる。だから、必要とされるものは、職人の手でつくってあげたいんだ。


そう語る社長の表情は少し寂しげながらも、嬉しそうにみえた。

『この商品は刷毛をいれる製品なんだけど、接合部分に孔があいているとね、中身にいれたアルコールや水が抜けてしまうから、出来上がった製品の接合部分は、手作業でハンダ付けしてから、ひとつひとつ漏れがないかを検査するんだ。
完成品になるまでかなりの時間がかかるね。』

作業中そこまでしか語らなかった社長ですが、一番漏れやすい角の部分を念入りにハンダ付けする社長の背中には
『そういう製品だから愛着が沸くんだ。』


と、製品に対する想いが浮かんでいるように思えた。
今では、職人歴25年のベテラン職人の社長ですが、かつては多くの失敗もあったらしい。
精密機械ではなく、職人が手でつくるものなので、製品の大きさに若干の誤差は生じる。
衣装缶のような蓋と本体が別々な製品では、蓋の大きさを本体よりも大きくつくらなければ蓋にならないが、誤って小さく作ってしまったことも一度や二度ではなかったと恥ずかしそうに笑う。

そんな、人間くさい社長を影で支えている職人植田さんに対しては、
『豆(アラレ)入りはね、植田さんでないとだめなんです。私も植田さんほどは上手にできない(笑)。
プレス作業以外は、植田さんには全てお任せできる頼りになる存在なんだ。』と、最後ににっこり微笑む社長でした。

  番外編:職人の道具
■道具1
広い工場の置くには何台ものプレス機や切削などに使用する機械が設置されています。そんな数々の職人の機械のなかに、工場の隙間から差し込む夕日に照らされ、黒光りした一台の古い機械がある。先代から受け継いだ機械のひとつ。

高度成長期を支えてきた機械の多くは、現代の最新機器のような安全装置はない。ちょっとした気の緩みが原因で大怪我につながることもある。

ただ、どんなに古い機械でもしっかりしたメンテナンスが施されていれば、ベテラン職人にとってこれほど心強い味方はいないのではないだろうか。
そして、その風情ある機械は現在も職人の右腕として時代を刻んでいます。

■道具2

職人がお客様に満足していただく製品を完成させるには、各道具を如何に手足のように使いこなせるかが重要。

しかし、規格品ではない製品をつくる職人は、時に道具もまた自作することも必要なのです。お客様以上に職人自身が納得できる製品をつくるために、試行錯誤のなか自らの手でつくりあげます。

一般的には鉄板に取っ手をつけただけの、何の変哲もない単純な鉄の塊にも見えるこの道具も、職人にはどんな最新機器よりも重要な相棒である。

この相棒がどれだけ職人の手作業を助けてくれたかは、職人自身にしかわからないが、多くの製品を見届けてきた小さな道具は、道具箱のなかでひときわ存在感があった。







 



職人 黒部美巳

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